嘘吐き
~バレンタインデー~
朝っぱらから大きな欠伸をしている僕の目の前に、三人の人影が立ちはだかった。

その一人はあの湊。

残りの二人は……



 「どうしたの?菜月に悠音、湊まで」



菜月とは、5年生の時からの大親友で暴力的だが、時には凄く優しい子。

だけど服装がいつもフードつきのパーカーに長い前髪で片目を隠すと言う

暗いイメージをチラつかせるものの為、それに負けないほどの強気な男口調。


悠音は今年の春から仲良くなったばかり。

浮気性の女として男子の間で噂になっている。

顔は童顔でキュート、オシャレ好きで差別をよくする子。

その二人に湊が加わると、僕のグループが完成する。

リーダーは何故か僕らしく、皆僕の命令には従う。

どうしてだか分からないけど…。



 「自分の世界に入り込んでいるのに邪魔して悪かったな…。

  実はお前に聞きたいことがあるんだが……。」



 「え~?なになに~?何なりとどうぞ~」



菜月は相変わらずの冷徹な目つきで、僕を見据える。

途轍もなく怖い……。

このモードに入った菜月は、大抵僕を殴るか蹴るかだ。

でもそれでも顔のニヤニヤは絶やさずに振舞う。

しかし今日は違った。

なんと……



 「バレンタインデーのことなんだが……」



 「…………は?」



思わずニヤニヤの表情がカチンと固まる。

どういうこと……??
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