嘘吐き
 「どど、どうしたの!?菜月!君の口からそんな言葉が出るなんて!!」



 「誤解するな、アホ」


 
うぅ…めちゃくちゃ冷たいっすね…

菜月ちゃん……



 「それで?バレンタインデーがどうしたの?」

 
 
 「お前…、来週の今日がバレンタインデーって…分かっているのか?」



 「あっ!!忘れてたー!!」



 「たく…」



えーちょ、僕めっちゃ呆れられてません…?

忘れてるなんて嘘だったのにー…?

酷いよ~……



 「で、お前は誰か男子に渡すのか?」



 「えー…」



 「誰に渡すの!?ねぇねぇ!!」



悩んでいる僕に、キラキラ輝かせた目を向けてくる悠音。

じぃ、と真剣な眼差しで見てくる湊。

フードと前髪の奥から僕を睨む菜月。


結局悩んだ結果―……



 「仲良しな男子と、君ら全員…かな?」



なんて…いかにも『まだ決めてません』的な答えじゃん。
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