テイスト・キッス。【短編】
放課後になり、あたしは神藤くんを探していた。
今日は吸血の日。
こういう日の放課後は二人きりになるまで教室で待っている。
でも、今日はいつの間にか神藤くんがいなくなっていた。
こんなことは初めてで、どうしたらいいかわからない。
とりあえずはそのまま教室で待っていたが、戻ってくる様子がないため、あたしは教室を飛び出していた。
逸る足を抑えて、キョロキョロと辺りを見回す。
屋上への階段に差し掛かったその時、「―――響くん」と小さな声が聞こえた。
―――?
この先に神藤くんがいるのだろうか。
あたしはなんとなく足音を立てないようにして、上に上った。
屋上への扉の下の踊り場からそっと上を覗き見ると、男女が絡み合っていた。