テイスト・キッス。【短編】
確かに3日に1度の吸血が始まってからは、そのリズムが狂ったことは初めてなんだけど。
あたしは意を決して、顔を上げた。
彼に負けないよう、挑むように。
「―――あたしはもう必要ないと思ったから」
「―――は?」
意味がわからない。
神藤くんの顔がそう物語っていた。
「もう別の吸血相手をみつけたんでしょう?」
神藤くんが首筋にキスするということは、吸血を意味する。
誰かの首筋を突き刺した牙が、あたしの首筋を突き刺す。
それはなんだか嫌だった。
彼が別の誰かを吸血するなら、私はされたくない。
だから―――。
「あたしはもう神藤くんにあげないから」