テイスト・キッス。【短編】
神藤くんがあたしの方に顔を向けて、微笑んだ。
……やっぱり?
どういう意味かわからなかった。
「ヒナには他の吸血鬼に狙われないように、オレのものって印のマーキングがされてるんだ」
……は?
なんだか動物みたいなことを言われて、あたしは固まった。
「そのマーキングがヒナとオレを繋ぐから、ヒナにもオレの居場所が感じられるんだ」
……なんだかよくわからないけど、そのマーキングのせいで、あたしは神藤くんのことが気になっていたってこと?
あたしは何故かそのことにショックを受け、言葉を失ってしまった。
ただ呆然と神藤くんの姿を見ていると、彼は急に顔をしかめた。
それを見て、あたしは神藤くんを探していた本当の理由を思い出し、咄嗟に彼に駆け寄ろうとしていた。
「大丈夫!?」
今日の神藤くんはずっと顔色が悪かったんだ。