テイスト・キッス。【短編】
あたしは自分がどうなっているのかわからなかった。
見開かれたあたしの瞳に映るのは、神藤くんの強い眼差し。
…………眼差し?
………………!!!
……起きてる……。
あたしの顔は真っ青だ。
だって、あたしは教室で寝ている神藤くんを襲っちゃったんだから!!
しかも、いつの間にか立場逆転?
最初はあたしが襲っていたはずの唇が、今、あたしを襲っていた。
「……んん……」
静かな放課後の教室には、いつしか彼の声ではなく、あたしの声が満たしていた。