テイスト・キッス。【短編】
「我慢しないで」
あたしは自分の首筋を座っている彼の口元へと押し付けた。
その瞬間、彼はあたしの肩をがっちり掴み、あたしの首筋に熱い熱いキスをした。
それはとても荒々しくて、初めてのときとは比べものにならない激痛があたしを留めた。
多分今までで一番長い時間が経ち、ようやく首筋から離れた彼は、今度はあたしの唇を覆った。
「ヒナ、ヒナ、好きだ。オレだけのものでいて」
血の味のキスの合間に、神藤くんは甘く囁いてきた。
それを聞いて、あたしの瞳からは再び涙が溢れていた。
でも、これはさっきとは意味が違う。
―――あぁ、あたしも彼が好きなんだ。
彼の言葉で、あたしは簡単に答えにたどり着いた。
マーキングなんかじゃない。
彼が好きだから、彼のことを見ていた。