テイスト・キッス。【短編】
スターの素質とでも言うのか。ただ格好いいだけでなく、人目を引き付ける何かがあると思っていた。
彼がそこにいるだけで目がいく。
そんな感じだったからだ。
でも、まさか人と違う何かがスターの素質なんかではなく、文字通り人と違うからだったなんて―――……。
「大丈夫?」
あたしが黙っていたからか、神藤くんが心配するように覗き込んできた。
「……大丈夫じゃ……ない」
一言口にするだけでも一苦労。
こんなこと初めてだった。
「ごめん。しばらくは我慢するが、これからも定期的に血をいただくから」
その瞬間、目の前がクラリと真っ暗になった。
―――これからも、こんな目に……?