テイスト・キッス。【短編】

スターの素質とでも言うのか。ただ格好いいだけでなく、人目を引き付ける何かがあると思っていた。


彼がそこにいるだけで目がいく。


そんな感じだったからだ。




でも、まさか人と違う何かがスターの素質なんかではなく、文字通り人と違うからだったなんて―――……。




「大丈夫?」


あたしが黙っていたからか、神藤くんが心配するように覗き込んできた。


「……大丈夫じゃ……ない」


一言口にするだけでも一苦労。


こんなこと初めてだった。



「ごめん。しばらくは我慢するが、これからも定期的に血をいただくから」



その瞬間、目の前がクラリと真っ暗になった。




―――これからも、こんな目に……?










< 8 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop