今すぐここで抱きしめて
なぜかムスッと膨れた彼は、私にとって暴言としか思えない言葉を吐いた。


嫌味で言ったのに、100倍の攻撃力で返された気分。


25で若くないんなら、29になった私は何だって言うのよ!?


ケンカ売ってんの!?



「……帰ろ」


そうだ、帰ってビールでも飲もう。


ちょっとリッチにワインとレバーパテでも買って帰って。


あと、お気に入りのプリンと。


あ、なんかワクワクしてきた。


「あ、小柳さん!」


足取り軽くその場を後にしようと思ったのに、飯田くんに呼び止められて楽しい気持ちが半減した。


今の私にとって、彼は敵!


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