今すぐここで抱きしめて
不倫なんて長くは続かないと思っていたのに、気が付けばズルズル、もう3年になる。


もう3年も……


どうしようもないな、私。


何か着るのも面倒くさくて、シーツを身体に巻き付けると、煙草とライターを手にした。


ベッドのあるこの部屋の窓は出窓になっていて、そこに這い上がって空を見上げた。


星も見えない都会の空。


薄暗い雲に隠れた月だけが真っ暗な空にときどき顔をのぞかせる。


ジュッと先端に火をつけて煙草をくわえ窓を開けると、素肌に気持ちのいい風が吹いた。


……今日で29歳。


プラトニックな恋愛なんてもう出来ないのかもしれない。
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