今すぐここで抱きしめて
「おかえり」


家に帰ると山瀬さんがソファーで煙草を吸っていた。


そのまま近づいて手から煙草を取ると灰皿へと押し付ける。


私の行動を呆然と見ている山瀬さんをよそに、跨るようにして膝の上に座ると、


「歩美? どうし……」


言い終わる前にその口を塞いだ。


乱暴にねじ込む様に舌を絡ませると、逆に山瀬さんに火をつけたのかソファーに沈められて、服の隙間から這った手で器用にブラが外された。


「んっ……」


漏れる声までを奪うような乱暴なキス。


山瀬さんに染み付いている煙草の匂いと味が私にも移ってくる。


もっと私に移ればいい。


純粋に好きだなんて言われる資格、私にはもうないんだから。


< 34 / 45 >

この作品をシェア

pagetop