今すぐここで抱きしめて
「歩美さん、いつも早いのに今日は遅いから、みんな心配してたんですよ」


「そう…… 他は? 他に何か言ってなかった? 飯田くん、とか」


「飯田さん? そういえば今日はまだ見てないですね」


「あ、そうなの?」


なんだ、まだ来てなかったのね。


安堵してスタッフルームへと足を伸ばした。


彩ちゃんのこの調子じゃ、きっと何の話も広まっていないよね。


でもやっぱり自分からドアを開けるのはドキドキしてしまうから、彩ちゃんの後ろについてドアを開けてくれるのを待った。


「あ、おはようございますぅ」


ドアを開けたはずの彩ちゃんの声色がガラッと変わったから視線を中に向けてみると、山瀬さんが部屋から出るところだった。


昨夜の私の淫らさを思い出して、恥ずかしくて真っ直ぐに山瀬さんを見れない。


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