今すぐここで抱きしめて
「小柳さん? います?」


「はぃ……、んっ……」


“はい”という返事が山瀬さんのキスで簡単にかき消されて、私の吐息だけが部屋に響き渡る。


外に洩れる心配はないけれど、何度か鳴らされるノックに心臓が跳ね上がって、


「もう行かないといけないから……」


抱きしめられている胸を押し返して、ドアへ向かった。


ドアを開けるとそこに立っていたのは同じフェア担当の飯田くんだった。


「小柳さん、いるんじゃないですか。何してたんですか?」


「ちょっと資料を探してたんだけど見つからなくて」


「あ、手伝いましょうか?」

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