sweet memory








「…妹じゃない」

「えっ?」

「婚約者だ」

「!…う、うそ…。何で?だって……えっ?」

「大体、邪魔なことに気付かないか?はっきり言って迷惑だ」

「……ボソッ…そんなの許さないんだから」

「何か言ったか?」

「ううん。じゃぁ、奏大くん。また明日から宜しくね」

「……」








そう言うと、その女性はその場から立ち去り、他の席に着席した。








「悪かったな…」

「何で奏大さんが謝るんですか?」

「アイツがお前に酷いことを言っただろう?」

「私は奏大さんよりも年下だし、妹に見られてしまうのは仕方ないことです」

「いや、でも…」

「それより、先程の方はお知り合いなんですか?」

「…あぁ。小学校時代からの同級生だ。創や淳平の事も知ってる」

「…仕事先も一緒なんですか?」

「いや、次のプロジェクトで、彼女の仕事先と組むことになっていて、明日はその顔合わせがあるんだ」

「そうなんですね……」

「ただの同級生ってだけで、仲が良かった訳ではない」

「えっ、でも名前…」

「再三注意してるが直らない。質の悪い女だ。迷惑している」








奏大の眉間の皺の濃さから、余程嫌なんだろうということが分かり、花菜は少し安心をしていた。



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