sweet memory
「さて、そろそろ教室に戻らないと」
「じゃぁ、行くか」
昼休みももう終わる頃になり、あかねと隼人の言葉に合わせ、全員が立ち上がった。
5人は、話をしながら階段を降りていた。
あかね、隼大、穂波の3人に遅れるかのように、律と花菜は後ろから階段を降りていた。
穂波が後ろの花菜を気にして、後ろを振り返ると、
「っつ!」
「花菜!?」
花菜が階段を踏み外し、そのまま下へ落ちそうになっていた。
その場にいた誰もが、そのまま落ちると思っていた。
「っぶねー…」
「さすが律!」
律は咄嗟に、片手で手摺を掴み、もう片方の手で花菜を自分の方へと抱き寄せた。
その為、花菜は階段から落ちることなく、律に守られたのである。
「花菜、大丈夫か?」
「りっくん…怖かったよ~」
花菜はそのまま律に抱きつき、涙を流した。
そんな花菜を安心させるように、律は花菜を撫で続けた。
しかし、上の階から物音が聞こえ、律は睨んだ。