sweet memory
「あら、誰かと思えば、奏大くんの名前だけの婚約者じゃない」
「っ…」
「元気にしてたかしら?」
そう、花菜の目の前に現れたのは、あの女性だったのだ。
「…何の用ですか?」
「別に大した用じゃないわ。貴女に会いに来たのよ。別れる準備や心構えが出来たかどうか聞こうと思ってね」
「…私は別れません」
「あら、奏大くんの欲求を満足に解消してあげられないのに図々しいわね。知ってるかしら?奏大くんって実は激しいのよ?」
「っ…!」
「この前も、仕事中だって言うのに、ゴムが無いのに求めてきてね…。たくさん中に出すんだもの、その後の仕事が大変だったわ」
「……」
「あら、大変!この後奏大くんとホテルで待ち合わせしてたのに、遅刻しちゃうわ。じゃぁね~」
そう言うと、その女性は走って消えてしまった。
それと入れ違いになるように、淳平が迎えに来て、花菜は車に乗り込んだ。