sweet memory
「初めまして。奏兄のすぐ下の弟の大輔です」
「は、初めまして…」
「大輔は今、大学4年なのよ。それで、隣にいるのが奏大の兄の奥さんよ」
「弘大の妻の茉莉です。花菜ちゃん、よろしくね」
「よろしくおねがいします」
花菜は次々に紹介されて驚きを隠せないでいた。
「奏くんって…何人兄弟なの?」
「言ってなかったか?」
「うん…」
「5人だ」
「そうなんだ…」
「やだわ、奏大ったら…。ちゃんと紹介しなさいって言っておいたのに…。ごめんなさいね、花菜さん」
「いいえ…」
紅茶を全員に渡しながら、自分の息子が家族を紹介していなかったことを知り、瑞穂は奏大に信じられないといった表情で見ていた。
奏大は瑞穂に言われ、気まずい表情をしていた。
ほんの僅かな表情の変化だったが、花菜は見逃さなかった。