sweet memory
「それに…花菜は俺のだ。近づくだなんて許さない」
「「はぁ?!」」
「独占して良いのは俺だけだ」
「奏くん…」
「お前…もしかしなくても、そっちが本当の理由だろう」
「淳平…何か言ったか?」
「いや…何も…」
「ならいい」
奏大は淳平にニヤリと笑ってみせた。
そんな奏大の姿に、その場にいた者が苦笑いしていた。
そんな場の雰囲気を壊したのは、秘書モードの創だった。
「さて…副社長。そろそろ時間ですので、移動をお願いします」
「あぁ…。花菜、行こうか」
「う、うん…」
「緊張しなくて良い。俺の隣でただ笑っていれば良い」
「うん…」
「花菜、頑張ってね」
「うー…」
花菜は皆に励まされ、何とか奏大に着いて行った。
いよいよこれから、婚約発表が行われるのだ。
元々、パーティーや人前に立つのが苦手な花菜。
今にでも心臓が飛び出してしまうのではないかという思いでいっぱいだった。