sweet memory
「嘘…私のため?」
「あぁ…。でも、気にすることはない。選んだのはアイツ自身だ。」
「でも…」
「それから2つ目は、あかねのため」
「あかねちゃん?」
「創が雨宮を継ぐとなると、あかねが雨宮家に嫁がなければいけなくなる。それを創は嫌がっていた。自分が長男であるからには、継がなければいけないところを次男に譲る。相当、周りから色々言われたみたいだな」
「そんな…」
「まぁ、当時付き合ってもいなかった女のために、自分が婿に入れるように選択したんだから、ヤツは凄いよ」
「創くん…」
花菜は、今幸せそうに笑顔を浮かべている創とあかねに視線を送った。
自分の知らないところで、兄である創が様々な決意をしていたことを知り、胸が締め付けられるようであった。
「ほら、そんな顔をしてたら、2人が心配するぞ?」
「……そうだね、笑顔でおめでとうって言ってあげないとね」
「あぁ…」
奏大に笑顔を見せた花菜は、創とあかねに向かって、「おめでとう」と叫んだ。
それに気付いた創とあかねは、花菜に向かって微笑んでいた。