sweet memory
「いや、何でもない」
「そうですか…」
「あぁ。それと洗濯や掃除だが、お前がする必要はない。ハウスキーパーに頼んで…」
「…あの…私がやっちゃ駄目ですか?」
「!」
「ハウスキーパーに頼むのは簡単ですけど、私はちゃんと自分で出来ることは自分でやりたいです」
「そうか…」
「我が儘言ってすみません」
「いや、自分が思ったことや考えはちゃんなと言って欲しい。お前は家政婦じゃない。婚約者なんだから、俺と対等な立場だ」
「はい」
その言葉に嬉しくなった花菜は、奏大に微笑んだ。
そんな花菜の姿を見た奏大もまた、微笑んでいた。
「じゃぁ、私は洗濯をしてきます」
「あぁ」
「奏大さんは寝ていてください。後で起こしに来ますから」
「分かった。7時半には起こしてくれ」
「はい」
そういうと花菜は奏大の腕から抜け出した。
花菜が寝室から出ていくまで奏大がじっと見ていただなんて、花菜は気づきもしなかった。