sweet memory
「りっくん!」
「花菜、充電さして」
そんな二人の様子に快く思っていないのは、周囲にいた女の子達だった。
「誰、あの女」
「律様が自分から抱きつくだなんて、信じられない」
「律様から離れなさいよ」
「律様に近づくなんて許せない」
コソコソと話している声が律にも聞こえたようで、不機嫌な顔をしていた。
そして遂に、
「ふざけんな!コイツの悪口言ってる奴誰だよ」
「……」
「コイツの悪口言う奴は誰だろうが許さねぇ!」
「りっくん…」
「…行くぞ」
律は花菜を連れてその場を立ち去った。
そんな二人に出遅れて、一人の男がこの騒ぎの中、現れた。
「あれ?この騒ぎの中心に律がいると思ったんだけど…アイツ何処に行ったんだ?」
「隼兄…」
「あれ?穂波?」
「噂の冷酷王子様なら、花菜と何処かに行ったけど…」
「はぁ!?」
二人がいなくなった後、こんなやり取りがされていただなんて、知るよしもなかった。