道なき恋
「ありがとう。

返すの明日で……

夜中で良いか?

鍵はポストに入れて置くから」

1度明日と言ったのだが、
今日は泊まりは無いと思い言い直した。

「え! 明日で良いですよ。」

「明日、ここ迄来るの面倒臭いから」

彼の家は私の家からだと急坂を2〜300m登らなくてはならないので面倒臭いって言ったのは本心からだ。

「分かりました。

多分1時ぐらい迄なら

起きてますから。」

「悪いな、で?お前の家どこだ?」

本当に知らなかった。

って言うか興味ない。

「え〜!

知らないのにポストに

鍵とか言ってるんですか?」

何なら付けぱなしにでもしてやろうか?

と言いたかったが借り物する立場なので言わなかった。

「悪いか!

自転車屋の裏だって事しか知らん」

多分その辺だったはずだ。

その程度の記憶しかない。

「……分かりました。

今から彼女とご飯行くので、

外に出てます。」

「分かった。

今靴屋の前だから

すぐ行く」

2〜3分で着くはずだ。

「はい! 自転車」

と言って、渡してくれた。

「あ!

ごめんね。

急に現れて、

ビックリしたでしょ?」

と後輩の彼女に声をかけたが

「……………………どうも」

と言ってあたまを
少し下げただけだった。

苦笑いしながら
自転車に手を伸ばした。

「じゃあな」

と言って走りだした。

自転車のライトを付けて○○駅に急いだ。
< 15 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop