道なき恋

「何か良い手はないかな？

折角、

仲良くなったばっかりなのにね」

と意見を求めたが、

これと言って無かった。

仕事の話しばっかりしてると

息が詰まるので

違う話をして盛り上がった。

璃子が

「あ！

そろそろ携帯の電池が無くなる、

切れたら……」

で本当に切れた。

仕事の疲れと心配疲れを

残して帰宅した。

むすっとした顔で考えていると、

「家に帰ってきて、

嫌な顔されてたら、

こっちまで嫌な気分になるから

止めてくれない？」

と家内が文句を言ってるが、

「はぁ〜」

溜息しか出ない。

妻に言い返そうともしなかった。

「辛気臭いから止めて！

って言ってるでしょ！」

段々と口調が荒くなってきた。

私は

待ったく耳に入っていなかった。

そう！

璃子だけでは無く、

私も既婚者なのだ。

璃子には、子供は居なくて

旦那と2人だけで、

私には妻と2人の子供が居る。

いわゆる

Ｗ不倫。

だが！

男女の関係には………

まだ………

なっていない。

翌日。

仕事が終わったので、

野口さんと2人で話していた。

「これから、どうしますか?」

と尋ねると

「会社がやれって言ったら

やるしか無いんじゃない？」

そうだけど…

それだけ？

「嫌だとかは言わないんですか?」

と質問をした。

「どこ行っても一緒だよ。」

少し苦笑いしながら言った。

それもそのはずで、

彼はこれで2度目だからだ。

聞いた相手が悪かった。