道なき恋
普段と同じように

仕事を終えて、

帰宅する前に実家に寄った。

「こんばんは……何か用なの?」

と白々しく聞いた。

「………………」

2人共黙ったままだった。

「用が無いなら、帰るよ。」

帰ろうと振り返ると…

「女でもいるのか?」

親父が口を開いた。

「はぁ? 何それ?……」

と言いながらも、

璃子の顔が浮かんだ。

「離婚したいって

言われたって!泣いてたのよ!

理由は! 何なの?」

昨日だったら

もっとキツイ言い方を

されたに違いが無い。

1日時間が立ったので、

落ち着いて話しているのだろ。

「最初に言っておくけど、

先に離婚を言い出したのは、

妻の方だからね。

理由は……。

軽々しく離婚を口にする人とは、

もう暮らしたくないから、

後は……

性格の不一致かな。」

結婚する前から、

性格の不一致なのは感じていたし、

多分合わない事も…

それでも20年間もいたのだから、

情は多少なりにもある。
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