道なき恋
「ねぇ! 子供達のいない場所で

話したいんだけど…」


と言うので、

「じゃあ、今度の日曜日に

買い物に行くついでに…で…良いか?」

冷たく言った。

璃子とはメールでやり取りもしていたが

会ってもいた。

璃子には、

包み隠さずに全てを話している

「私の家は、冷え切っていて

離婚は、確実だけど…

まー君のうちは…やり直せるんじゃ…

ないかな?」

なんでか…歯切れが悪い…

「?……どうしたの?」

と問いかけた。

「え…まー君…奥さんは、

やり直したいんだよ…だから…

お弁当を作ってくれるんだよ…」

下の自分で作ったお弁当を見ながら、
そう答えた。

「え…この弁当の事?」

私は、普段から小遣いの節約の為に、

お弁当を持ってきている。

「そうだよ…だって!

仲が悪かったら、作らないよ…」

今度は、私の目を見ながら答えた。

「違うよ! ほら!」

私の弁当箱を璃子に見せた。

「あれ? 御飯だけなの?

おかずはないの? それだけなの?」

私の弁当箱の中身は御飯と梅干しだけで

おかずは一切ない。

「これだけだよ…自分で詰めてるしね。

後は、これだよ。」

コンビニのビーニール袋から

小さな紙包みを2つ取り出して中身を見せた。

「さっきコンビニで買った、

コロッケとからあげ。」

璃子が少しだか…ホッとした様子だ。

「じゃあ、これも食べて…」

そう言って、玉子焼きを分けてくれた。

「美味しそうだね。ありがとう。」

そう言って

玉子焼きを1番最初に食べた。

「うん! おいしいよ!

大好きな味だよ! 今度…

また作ってね。」

そう言ったら、璃子は一気に明るさを取り戻した。

「じゃあ、今度は私が、

お弁当を作って来るね。」

誉めたのが良かったのか、

上機嫌で話し始めた。
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