道なき恋

夏も終り残暑が厳しい頃。

仕事で良く出入りしている

会社の商品管理で働く女性が
り
新川璃子(にいがわ りこ)だ。

璃子とは挨拶を交わす程度で、

もっと仲の良い女性がいた。

良くその彼女と話しをしていた。


初対面の記憶もあまり無い。

一応、紹介されたらしいが正直

あまり良く憶えて無い。

(後で聞いた事だが、

彼女も興味が無かったので、

憶えて無いそうだ。)

普段は滅多に来ない荷物を

配達に行った時の事で、

入社したばっかりの璃子に

「店長宛の荷物は、

2階にある事務所にお願いします。」

と言われて

少しイラっとして

「え！ いつもこっちで、

受け取って貰ってるけど？」

といくら説明しても、

取り合ってはくれ無いので、

渋々と2階の事務所に持って行った。

「あれ？

コレってこっちに持ってこられても、

困るんですけど。」

と言われてしまい、

仕方が無いので、

また納品口の方に持って行った。

璃子に持って行ったら

時間がかかりそうなので、

璃子以外の人に受けて貰って

その日は終わった。

まぁ、良く納品に来るので

あまり強く文句も言えないし、

この仕事では、良くある事なので、

苦笑いしながら帰った。

翌日、納品に行くと

私が来たのが分かると

わざわざ走ってやって来るのが見たので、

「何だ？」

と思ってると、

璃子が

「昨日は、すいませんでした。」

「え？ 」

昨日って？

何だったけ？と思ってると、

「あの品物をこちらで、

受けるとは知らなかったので、

本当にごめんなさい…

店長宛の荷物は、

2階の事務所に持って行く

決まりになっているので……」

そう言って商品管理室に戻って行った。

そんな事はしょっ中なので

あまり気にしてなかったけど、

わざわざ走ってまで

謝りに来る人は見たことがない。

(私の知る中では璃子ぐらだろう)

この時も対して気になる存在では無く

普通のお得意先の人と

納品業者の関係だった。