道なき恋
それからは、

少しは会話をする仲にはなったが、

雑談していただけで、

別に恋心とは、

言える程の気持ちは無かった。

ある日、

他のお得意さんから、

甘い物を頂いたのだか、

甘い物が苦手で、

貰ったのは良い、

捨てるのも悪い気がする。

その時に、子を思い出した。

何故かは、

分からないが思い出したのだ。

璃子の仕事場に行き、

荷物を降ろし終わった時に

「羽賀さん、貰い物ですが、

良かったら食べます?」

そう1番仲の良い女性に聞いた。

「お! 甘い物じゃん! 食べる!食べる!」

と言ってくれたので、

「じゃあ、良ければ少しだけど

みんなで分けて食べて」

と言いながら手渡した。

(これも後から璃子が言ってたのだが、

璃子は彼女が貰った物だから遠慮したそうだ)

当時の私は、良くお客様から頂き物をするのだが、決まって私の好きな物は頂けない。


ほとんとが、甘い物だ。

それからは、頂き物で、私が食べない物は、彼女達への差し入れとなった。

少しづつだが、璃子との距離は近づいて行った。

羽賀さんとは気兼ねし無いで話が出来たので、趣味とか色々な話をしてた。

「何か趣味とかないの?」

と聞かれたので、

「最近はオーブンレンジを買ったのでパン作りにハマってる」

と答えた。

「へ〜 良いじゃん! 今度作って持って来てよ」

「まだまだ人にあげる様なパンじゃあ無いから」

と断ったのだが、

「別に良いじゃん! ね!」

と璃子に聞いた。

「そうですよ。私も食べてみたいですよ。」

と社交辞令的な会話が返って来た。
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