雨音を聴きながら


今年の梅雨はおかしい。
梅雨入りしてから、雨らしい雨は降ってない。空梅雨なんだと天気予報では言ってた。


それなのに、いきなりの夕立なんてたちが悪すぎる。


どうせ降るなら、少しずつ降ってほしい。ゆったりと降ってこそ、趣さえ感じられるものを。


周りの一切の音をかき消して、ざあと轟音を立てながら降る雨などには悪意しか感じられない。


こんな雨に降られたら、紫陽花の葉の上で休むカタツムリなど、雨粒に叩きつけられて痛かろう。痛いどころか、簡単に地面に落とされてしまうに違いない。


池の畔に佇んでいるカエルだって、悠長に空を見上げて恵みの雨だと喜んでなどいられるものか。鳴きながら、一目散に池に避難するしかない。


まあ、どっちにしても雨は嫌いなんだけど。



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