雨音を聴きながら
とりあえず、地下街への入口を目指す。入口はここからまっすぐ進んで、三つめの交差点の横断歩道を渡ったところ。
職場の最寄りの地下鉄の駅までは、地下街を通っていくことができる。濡れずに行けるのはありがたい。
水捌けの悪いアスファルトには、あちこちに水溜りができている。たまにあり得ないほど深くなっていたり、まるでトラップだ。
地面を睨みながら慎重に、かつ速足で進んでいく。それなのに、私の足は的確に深い水溜りを選ぶ。
「ああっ!」
奇声を発した私を見ながら、通行人が怪訝な顔をしてる。恥ずかしいったらもう……
靴の中は水浸しで、ぐしゃりとして気持ち悪い。
こんな時に、ぺったんこのバレエシューズを履いてきた私の不運か。
だけど、こんなに雨が降るなんて思わなかったんだから仕方ない。