雨音を聴きながら


不自然に伸ばした腕がだるくなってきたけど、気にしない。そんなことよりも気になるのは、彼が振り向かないか。


雨音を聴きながら、私の視線は彼の後頭部を睨んでる。いつ振り向いてもいいように、振り向いたらすぐに逃げられるように。


短く刈り込んだ襟足、すっきりした項が意外と綺麗。ちょうど時代劇に出てくる男優さんの項みたい。そう、カツラの下の方。


斜め後ろから、こっそり顔を覗いてみる。


どきっと胸が跳ねた。


わりと色白な方で、夕方だというのに顎ラインの髭はあまり気にならない。


ヤバい。
結構、好みかもしれない。


髪から滴り落ちた雨粒が、首筋をなぞってシャツの襟の中に消えていく。濡れたシャツから透けた肩が目に飛び込んで、胸がぞわぞわする。




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