社内人気No.1のアイツに不意打ちで愛されています。
「…、」
離れた唇からは、はぁ…と甘い息が漏れる。
「『嫌い』な男と三度もキスするなんて、君も大概だよね」
「なっ…」
意地悪く言いながら体を離す彼に反論をしようとするものの、それを遮るようにガチャッと部屋のドアが開く。
「…?何してるんだ?二人で」
「!拓真…」
姿を現した拓真は、本棚に押し付けられたままの私と体は離しているもののしゃがみ込んだままの氷室さん、という光景に驚いたような疑いのような目でこちらを見つめた。
「長瀬こそ、どうしたの?資料室来るなんて珍しい」
「あ、渡し忘れたのがあって…」
「俺と同じだ。お互いうっかりしてるよねぇ」
「…っ、」
そう至っていつもの口ぶりで言う氷室さんに、私は耐え切れずファイルを置いて部屋を飛び出した。