社内人気No.1のアイツに不意打ちで愛されています。
(頭、ぼーっとする…)
吐いたこともあり気持ち悪さは若干抜けてきたものの、今度は酔いが回ってきたのかふわふわとした気持ちになってくる。
「先帰る?送ろうか?」
「…平気です、タクシーだけ、お願い…」
椅子にだらしなく座る私に、氷室さんは隣に座り落ち着けるようにトン、トン…と背中を優しく叩く。
空いている左手は、そっと私の手を握った。
(…優しい、手)
いつもなら払うその手。だけど、今は安心感から小さく握り返す。
「…なんか…すみません、」
「?」
「氷室さんの…歓迎会、なのに…」
「気にしないで。寧ろしおらしい宇浦ちゃん見られてラッキー、みたいな?」
「……」