社内人気No.1のアイツに不意打ちで愛されています。
「じゃーん、営業マンの必須アイテム・折りたたみ傘〜」
「…そういえば拓真もそんなこと言ってた気が」
「うん。出先で降られることもあるみたいだから」
そしてパンッとそれを広げて、私を傘の下に入れる。
「…?」
「駅までご一緒にいかがですか?お嬢さん」
「…結構です。少し濡れるくらい平気ですから」
「まぁまぁ。そう言わずに」
ツン、と断るもののその顔はにこりと笑い肩を抱いて歩きだす。
「……」
丸め込まれてる気もするけど…まぁ、傘入るくらいならいいか。さすがにこの男も屋外で、ましてやこの雨の中では何もしてこないだろう。
そう渋々納得しながら、私は肩を抱くその手をパシッと払った。