社内人気No.1のアイツに不意打ちで愛されています。
「いやー、あれはびっくりだったね。あの日営業先でみんなに問い詰められてさぁ」
「…いきなり手が出たことは謝ります。けどそもそもはそっちが悪いんですよ」
「はいはい、わかってます」
そう頷く彼の足元では、パシャ、と水溜りを踏む音が響いた。
「けど、そんな最低男の傘に入っちゃうんだもんね。本当、迂闊っていうか隙があるっていうか、そういうところがまた可愛いっていうか…」
「…出ます」
「ウソウソ!冗談!出ないで!」
悪かったわね、隙のある女で!
ふんっと顔を背ければ、駅へ抜ける細道の中、周囲に人の姿はない。