君がいればこんなにも世界が美しい
自転車に揺られること15分。
花粉症や〜とか部活がどうとかたわいない話をしながら。この時間ってゆうのがなかなかに至福の時でもある。


「としえ〜!」
またガラ戸をバンバンやりながら。
「はーい」
知らない人の声。
「どちらさまですか?」
「あの、チヨと康平なんですけどとしえは…?」
「ああ!あなた達が?としえさんずっとあなた達のこと話してるんよ。あがって」
「あの、失礼ですけどあなたは…?」
「ああごめんね、ホームヘルパーの桐原です。」
「ホームヘルパー…」
「としえさん2年ほど前にねぇ、旦那さん亡くしてるでしょう。家族の方も近くにおられてないし大変みたいやからね。ささっお茶いれよう。」
「はあ…おじゃまします」


「としえさん!チヨちゃんと康平君来たよ!」
としえは座椅子に座っていた。
すごく小さく見えた。
「チヨちゃんコウちゃんよく来たね。クッキーをね…よいしょ…焼いたのよ」
立ち上がろうとするけど上手く行かない。
「としえさん!クッキーね、わかったわかった。私がとりますから座ってて下さい。」
「ごめんなさいね〜」


としえ…すっかりおばあちゃんになってるなあ。何でか、泣きそうになった。
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