拾われ化け猫
時がたつと、トモくんは次第に笑顔を取り戻していった。
トモくんは学校に行かなかったから、一緒にいる時間が長くなった。
僕は単純に嬉しかった。
ある日の晩ご飯のとき、お父さんとお母さんがトモくんに話すのが、食卓の上で聞こえた。
「トモ、転校して、新しいところでやり直さないか?」
トモくんは何も返さない。
「トモくん、いつまでも家にいるんじゃ、楽しくないでしょう?新しい学校に行けば……」
「行かない‼」
トモくんはお母さんの声を遮るようにして叫んだ。
「僕、もう学校には行かないっ、家にいる。レイルがいるから楽しい。レイルがいればいい‼」
トモくんは勢いよく立ち上がると、僕を抱き上げて自分の部屋にこもった。
「ひくっ、うぅ……」
トモくんは僕の毛並みに顔をうずめてしゃくりあげた。
僕はずっと胸が痛かった。
でも、きっと、トモくんの方がもっと痛い。
もっとずっと痛い。
トモくんは学校に行かなかったから、一緒にいる時間が長くなった。
僕は単純に嬉しかった。
ある日の晩ご飯のとき、お父さんとお母さんがトモくんに話すのが、食卓の上で聞こえた。
「トモ、転校して、新しいところでやり直さないか?」
トモくんは何も返さない。
「トモくん、いつまでも家にいるんじゃ、楽しくないでしょう?新しい学校に行けば……」
「行かない‼」
トモくんはお母さんの声を遮るようにして叫んだ。
「僕、もう学校には行かないっ、家にいる。レイルがいるから楽しい。レイルがいればいい‼」
トモくんは勢いよく立ち上がると、僕を抱き上げて自分の部屋にこもった。
「ひくっ、うぅ……」
トモくんは僕の毛並みに顔をうずめてしゃくりあげた。
僕はずっと胸が痛かった。
でも、きっと、トモくんの方がもっと痛い。
もっとずっと痛い。