拾われ化け猫
僕は寂しくて、ダンボールの中でにゃぁにゃあ鳴いていた。


泣き虫な空から、ぽたりぽたりと雨が降っていた。


僕は寒くて震えた。


「猫ちゃんだっ」


ふいに可愛らしい声が、僕の頭上から聞こえた。


見上げると、そこには僕よりずっと大きな生き物が、キラキラと瞳を輝かせて僕を見ていた。


「猫ちゃん」


僕に手を伸ばして、ふわりと抱き上げる。


僕は怖くて、一生懸命その生き物に爪をたてた。


「大丈夫だよ」


生き物はそう言うと、僕を優しく撫でながら抱きしめた。


僕はしばらく暴れ続けたけれど、抱きしめられた腕の中があったかくて、いつのまにか眠っていた。
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