拾われ化け猫
「あのね、君の名前はレイル。僕の名前はトモくんだよ。」


トモくんはそう言って、にっこり笑った。


言い合いの最後に、僕が聞いたのは、もっと大きな生き物……後でトモくんのお母さんだと分かるその人の、


「しょうがないわね」


と言う声だった。


「しっかり面倒みなさいね」


「うんっ」


それから、トモくんはずっと僕を腕の中に抱きしめている。


チカチカする不思議な箱の前に座って、時々僕に話しかける。


‘‘学校’’のお友達のことや、好きな食べ物


好きな遊びに最近習いはじめたピアノのこと。


この時の僕には、トモくんの言葉を理解することは出来なかったけれど、楽しそうな声に、僕はそっと耳をすましていた。
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