拾われ化け猫
ある朝、目が覚めると、僕の隣にトモくんの寝顔があった。


口元にあどけない笑みを浮かべて、トモくんは穏やかに眠っていた。


僕は、起き上がろうとして、ふいに自分の異変に気がついた。


身体が痛くて、なんだか硬い。


起き上がろうとしても起き上がれない。


うんうんともがいていると、トモくんがぱちっと目を開けた。


隣にあるトモくんの目が、大きく身開かれた。


「……誰?」


トモくんはそう言った。


僕は驚いて、しゃべれるわけはないのに、レイルだよ、と言おうとした。


「ぇあ……う」


口から出てきたのは、聞き慣れた猫の声ではなかった。


掠れた、人間の子どもの声。


トモくんはしばらくじっと僕を見つめていたけど、しばらくして、恐る恐る尋ねてきた。


「……レイルなの?」


僕は一生懸命首を縦に振った。


トモくんの瞳がみるみるうちに輝きをおびる。


まるで、はじめて遭った時みたいに。


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