そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
その心

強欲

私は強欲な女だ。

あの人が欲しい。

あの人の躰が欲しい。

いや、何より…本当はあの人の








心が、想いが欲しい。



その反面働かずに楽に生活がしたいし、
できることなら娘と私を愛してくれる人と結ばれて
穏やかに安心したそんな暮らしを送りたい。


でも、こんな状況から抜け出せない今の私には…
そのどちらも叶うことはない。

でも…願うくらいいいじゃない。
願うくらいはタダじゃない。

私は完ぺきな人間じゃない。
それどころか今…

それをしてはいけないとわかっていても
やめられないことは人間だれしもある。

煙草だってギャンブルだってお酒だって…そうだ。

強い薬にまで手を出せば、
憎い人を殺してしまえば、誰かをさらえば、
それは法に触れるが、そうじゃなきゃ
誰だって、何かしらの道徳は犯している。

私だって、良くないとわかっていて、
あの人に溺れている。

あの人のくれる快感の虜になっている。

それはあの人自身を愛してしまったからと
勘違いしているだけなのだろうか?

親に隠れてマッチを擦って火遊びする子どものように
ばれなければ何をしてもいい。
わからなければなんでもしてしまう…

そんな訳はないのに、
後先考えずのめり込む自分。


やっぱり私は強欲な女だ。
強欲で醜い女。
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