そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
この頃彼女を抱くようになって、それは月に1度の事のはずなのに、
彼女が色っぽくなった気がする。
普通に制服を着て仕事をしているだけなのに、その横顔に、
仕草に、そのパソコンを触る指先に艶やかさを感じてしまう。


女が、さなぎから殻を脱いで羽ばたく蝶のように
俺の腕の中で変化していく彼女を四角の密室でしか、
手に入れられない自分にイラつく。

それを知らないのだろう。
「おはようございます」

いつものように、彼女はコーヒーをデスクまで持ってくる。
俺が転勤する以前からある、日常の何気ない光景。

俺は彼女の入れたコーヒーを片手に持ち、
今朝もメールチェックをした。

「相良君おはよう」

彼女を意識しているのを悟られたくなくて、
顔を画面に向けたまま挨拶だけを口にする。

今日の彼女は、いつもと違う。

あの時の色香をそのままここで放っているような気がした。

そんな姿をここでさらすんじゃない。
俺は自分の独占欲にはっとする。

それなのに、彼女は踵を返して給湯室に…向かったのだろう。

俺は、デスクを立ちそのまま部屋を出た。
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