そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
「あら、久々なのにその態度はあまりにも失礼じゃない?
旦那様」

くすくす笑いながら女はあの人にそう言う。
もしかして、奥様?私は両手を膝の上で握りしめ
顔から一気に血の気が引いた。

「なんで突然現れたんだ?」

「別に…仕事でたまたまここに来たのよ。
偶然会うことだってあるわよね。それとも都合が悪かった?」

浮かべる微笑みが怖い。私は盗み見るように、
少しだけ視線を上げたが、威圧的な空気にうつむいた。

「相良…何に」
私に向かって、あの人が静かに話しかけてきたが、
女はそれに割り込むように会話をかぶせる。

「あなたに何がいいって聞いているんですけど?
答えないなら、勝手に頼むわね」

そう言うと店員を呼び、
「コーヒー3つ」と注文をした。

しばらく私たちの間には会話はなかった。








そんな空気を、奥様?の辛辣な言葉が切り裂く。

「新しいのはずいぶん昔のセンチメンタルな
思いを引きずった女なのね。
あのヒトによくにて…「ヤメロ!!!」」

あの人はその場に立ち上がり、女にむかって噛みつきそうな勢いで
叫びその言葉を遮った。
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