そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
「別に…いつもの悪い癖なんでしょ?
そのくらい私にとってはどうってことないから、気にしないで」

「…」

「もちろん、遊びなのよね?」

女はあの人の何も答えない反応に最初不思議な顔をしていたが、
次第に震え始める。

それでもあの人は、私の方を向き、女を相手にしなかった。

その行為が雲行きを余計にあやしくする。

「ねえ、なんで?いつもなら、薄ら笑いを浮かべて
目の前で切り捨てるのに、どうしてそっちばかり見て
黙ってるの?」

明らかに目の前の女は動揺していた。

「どうせ遊びなんだから、遊ぶのはいくらでもしたらいいわ」

「ただ…あなたはもう私だけの物なんだから。
だから、何があっても離してなんて…」

興奮して立ち上がりあの人に向かってまくしたてる。

女の横の男が、彼女の両肩に手を置きあたりを見回す。

「お嬢様、もう、その辺で…」
と言った。

「…わかった佐伯。ごめんなさい。」

「仕事のできる、お嬢様らしくありませんよ」

優しい微笑みを投げかけながら女を座らせて、
落ち着かせようとしていた。

その間中あの人はただ、私の方に向きうつむいて、
嵐が去るのを待っているようだった。

そして、私には突然の事態にどうしていいのか、
ただただわからなかった。
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