そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
「本当にそれでいいんだな?」

頭を縦に振り、うなずいたとたんに両手を絡められ

ガンと音を立ててドアに押し付けられる。


囚われの身になった私。


お互いの視線が絡み合う。強く欲情した瞳。


そんな男の目を何年ぶりに見ただろう?


そして、躰も絡まり合った瞬間、あの人は激しく口づけた。


口腔内を掻き回す舌。

それに合わせるように私もあの人に舌を絡めた。


その唇が触れた瞬間、乾いた大地に水が浸みわたるように

女としての細胞が一気に呼び覚まされる。


女としての悦びを知り、その結果私は2度も新しい命を

この身に宿し、育み、この世に産みだすことができた。


それはとっても幸せな事だった。


それから、私の環境は一変する。女として顧みられない日々。

降りかかる困難。








長かった。8年ぶりの口づけは、私の中に眠っていたものを

覚醒させた。


そしてその晩、私ははじめてあの人のものになった。


初めての時のような少しの痛みと共に…

でもそれは、躰の痛みと…心の痛みだった。



そして、そのキスの代償は…私にとってはあまりにも、

あまりにも大きかった。
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