そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
私は放心状態でしばらくベッドに座ったままだった。

なんでこんなことになるのか。
でもいつかこんなことになるのは…わかっていたはずだった。

研修とはいえ、あの人と二人でどこかに出かけようなんて
バカな事をした。

だから、いつもふたりで部屋でしか会わなかったのに。
誰と誰がいるか、わからないように用心していたのに…
二人でいることは許されないことだから。

それでもいいから私はあの人とこういう付き合いを
続けていたはずなのにね。

ばかだ。本当に…


あの人はその夜、もちろん私の元に現れることはなかった。

そして、意を決してあの人からもらった
脱がすためのドレスを自分自身で脱ぎ捨た。

込み上げる自身への嘲笑と、押さえきれない涙。

もう我慢することはない。

何もかも吐き出してしまおう。

あの人への思いも涙と一緒に溢れて流れて
消えてしまったらどんなにかいいのに…

私は脱ぎ捨てたドレスを、あの人への思いと一緒に…
ダストボックスに押し込んだ。


それでも流れきらなかった想いを残さず水に流そうと、
全裸のままあふれる涙をぬぐうことなくシャワールームに入った。
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