そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
その約束

拒絶

「すまない」

私は頭を横に振った。そんな言葉を聞きたいんじゃない。
そんな顔をさせたいんじゃない。


でも、私がその紙切れに縛られるということは…
私自身が私の気持ちを殺すことになる。

口にしたことのない気持ち。
最初から否定されたこの想い。

所詮あの人にとっては、そんなものかもしれない。
大して価値もないのかもしれない。

でもこの気持ちすら殺すのは…

それだけは嫌だ。ここら辺が潮時。

「課長。帰りのチケット下さい」

「なんでだ?」

「研修はありがたく出ますが、帰りは一人で帰ります」

「どうしてだ?席はどうせ、隣同士だぞ」

「時間を変更します。これ以上別れる私に何を求めるんですか?」

私は、一息吸い込むと心を落ち着けてあの人に向き合った。

「仕事はきちんとします。
チャンスをくれた研修にも今後一人で生きていくなら
きちんと出て勉強したい…
でも部下である私に、これ以上の義務は…


「お前は俺の物だ!!
愛人だろうが、何だろうがそんなこと、
どうでもいいじゃないか?
あの快楽が今更お前に手放せるのか?
もう、無理だろう…何にこだわっている?
絶対に離さない!!」」
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