そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】

悲観

飲み会の後の逢瀬。

目覚めた私は、手探りで…あの人を探した。

素肌に纏ったシーツの感触。

あの人のフレグランスの香り。

私にとって心地いいもの。

目覚めた時、あの人がいることにも…ずいぶんと慣れた。

いなかったときの、あの切ない、でも暖かい時間は、
それはそれで私には大切だったが、

あの人の無防備な姿にはにかんでしまう自分。

失くしたものも多かったけど、でも手に入れた物もある。

そして、目覚めたあの人は最初こそ相槌を打つだけだったが、
次第に変わっていった。

その姿に違わない。少し皮肉屋で、饒舌。
そして、時に思いやりを見せるいい男だった。

でも私達はお金で契約された関係。
それでしか説明することを許されない間柄。

そうなってから初めて知るあの人の別の面。

それでも私はあくまでも悪女を演じ続ける。




そう最後まで…






最後の時まで…






それからもしばらく、そんな関係が続いた…





でもやはりそんな関係が長く続くわけなかった。




その時が近づいていた。
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