そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
あんな契約までさせるほどに、彼女に執着し、
彼女を切れなくなり、ここまできてしまった。

溺れていたのは…ひなではなく、俺の方だ。


「そうだよな。俺たちの繋がりは躰」

俺は彼女に近づいていく。
彼女は、俺を鏡越しに見つめる。

その強い視線に、何かがこぼれそうになるのを
懸命に押しとどめる。

俺が彼女にしてやれることは、ひなを抱くことと、
この虚構を一緒に演じてやること。

「お互いに足りない欠片(ピース)を埋めあっていただけ」

意地っ張りな彼女の言葉。
俺は濡れたひなの肌を後ろから抱きしめて

「俺たちは所詮オーディオコネクタのオスとメス」

と、腰を彼女のお尻にあてがう。

「ちょっとぉ。それじゃ、あんまりにも…」

「コネクタは抜き差ししすぎるとバカになって壊れるが、

こっちは、それがお楽しみだ…
でもやっぱり限度を超えるとこっちもバカになるか」

最後に強く自分の腰をグイと押し付けた。

彼女は俺の胸の中で苦笑いしていた。

ひなはドレッサーの前にある椅子に座り、
ドライヤーで髪を乾かし始める。
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