そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
俺は、抱擁は解いたもののそのまま離れがたくて
そばの椅子に座って、煙草に火をつけようとする。


もう少し、ひなのその艶やかな姿を見ていたかった。

「ごめん。悪いんだけど、清浄機のところで吸って?」

「ああごめん。つい…」

俺は、灰皿を持って仕方がなく彼女から離れた。




「…これでおしまいよね?」


「ああ。おそらく…」

俺は煙をまとい、瞳を細めながら彼女を見た。
おそらく、もう…無理だろう。

こんな艶やかな彼女を二度と見ることができなくなるなんて…

「わかった。いままでありがとう」


俺は彼女の言葉に驚いて、視線をそらす。

「そんな。お前、ありがとうって言うような関係じゃないだろ?」

そうだ。俺はお前に、こんなにも苦しいことを課した。
抱かれる快感を、お金を引き換えにするくらいじゃ
足りないほどの苦痛と屈辱。
最後位恨み言の1つや、2つ、言えばいいのに…

「ありがとうだよ。私に女としての自信を
取り戻させてくれたんだから」

俺は煙を吐きながら感慨深げにつぶやいた。







「そうか…そうなんだよな」
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