そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
聡美にはいつも佐伯という男が付き従っていた。

お世話係という名のオトコ。

どこにいても、何をしていても聡美の側には佐伯の視線と息使いを感じた。

聡美も俺より佐伯に心を許しているように見えた。

聡美と結婚した瞬間から、その向こうから取締役と佐伯の圧力を感じる。

女一人に男3人のおかしな結婚生活。そんな生活を5年…

女の子だが子どもも2人はできた。

次女が生まれた時、取締役が俺にだけ見えるようにきつい視線を投げかけたのを見た瞬間

何かが崩れた。

「いろいろ勉強したいので…」

そう言い訳をして転勤を希望し地方で仕事をするようになった。

もちろん単身赴任。

結婚前独り暮らしが長かったので特に困ることはなかった。

それより息苦しい屋敷から解き放たれた開放感から夜の街に出て遊んだ。

もちろん最初は飲んでいただけだが、ある時店の女に誘われて遊ぶようになった。

でもしょせん遊び。本気になることなんてない。

そういうピュアな気持ちを、俺にはすでに持ち合わせていない。

それに今の仕事をできるのが俺の実力だけでない、聡美の…

その後ろの力であることはわかっていたから。


取締役はこんな俺の素行を知っているはすなのに…

何も言わず俺を転々とあちこちに行かせた。

そんなある転勤先に現れたのが…

彼女にそっくりの容姿を持つカノジョだった。



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